名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

過去ログ

06/10/19 - の記事

本日の名台詞

……私たちは、なぜこんなことをしているのだろう。
クラス合唱に努力をかたむけると、いったい何が得られるというのだろう。
……だれが、これをしようと言い出すのだろう。目をそらそうと耳をふさごうと、私たちは個人でしかなく、大学受験は個人が受けるしかないのに。
歌いながら、とりとめのない考えが頭をよぎる。
……私たちが歌うのは……たぶん、私たちが若いからだ。
自分たちの努力の先に何があるか、まだ見えていないからだ。
価値あるものは何か、勉強にははたして価値があるのかどうか、未定だからだ。
……だから、とりあえず歌ってみる。
とりあえず全員が歌ってみるのだと、私は思った。


タイトル:樹上のゆりかご(小説:C★NOVELS ファンタジア)
作者  :おぎわらのりこ:荻原規子
絵師  :香坂ゆう
デザイン:?
編集  :?
キャラ :上田ひろみ (42 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

おすすめ。その理由については……画像クリックでどうぞ。
うーん、これはやっぱり「西の善き魔女」にも手を出してみたいところですね……

それでは台詞解説。
合唱コンクールで、最初はクラス全体があまりテンションの上がらない状態だったものの、直前にはいつの間にかしっかりと団結して一生懸命になっている。そして本番。そういう中で、「なんで歌っているのか?」という素朴な疑問に対しての自問自答です。どこを目指しているかよくわからないけど、とにかく走ってみる、そういう感覚がよく出ているんじゃないかと。

樹上のゆりかご

タイトル:樹上のゆりかご(小説:C★NOVELS ファンタジア)
作者  :おぎわらのりこ:荻原規子
絵師  :香坂ゆう
デザイン:?
編集  :?

しばらく積ん読だったんですが、ふと目に留まってやっとこさ読了。
昔は男子校だった名残から、男比率の高い辰川高校。文化祭などの行事を積極的に行い、同時に進学校でもあるこの学校で、高二の上田ひろみは学園生活でどう行動し、何を感じていくのか?
見届け人のような立場に回ることの多いひろみの一人称で、あくまで等身大の学生視点から丁寧に学園生活と、そしてその中で起きる「ほころび」について描写していきます。
熱血や、大立ち回り、狂騒とは対極にある話でじっくりと読むタイプの物語なので、燃えとか萌えに主軸をおいて読むには向いてませんが、一文一文が体にしみ通るような感覚のあるすばらしい作品。おすすめ。