名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「よろしいですか。女たるもの、のべつまくなし鉄拳をふるってはいけません。けれどもこの広い世の中、聖人君子などはほんの一握り、残るは腐れ外道かド阿呆か、それでなければ腐れ外道でありかつド阿呆です。ですから、ふるいたくない鉄拳を敢えてふるわねばならぬ時もある。そんなときは私の教えたおともだちパンチをお使いなさい。固く握った拳には愛がないけれども、おともだちパンチには愛がある。愛に満ちたおともだちパンチを駆使して優雅に世を渡ってこそ、美しく調和のある人生が開けるのです」


タイトル:夜は短し歩けよ乙女(小説:角川書店)
作者  :もりみとみひこ:森見登美彦
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?
キャラ :後輩の姉 (8 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

ラノベ読みなら(挿絵がないのだけはどうしようもないですが)非常に高い確率で気に入るであろう一般小説です。
ちなみに2007年本屋大賞の2位に輝いた作品です。
大学内を、そして街角をマイペースで行く後輩と、その後輩にお近づきになるために「偶然」遭遇しようとしてすれ違ってばかりの先輩。そしてその周辺のいずれもどこかおかしみのある人々の日常を描いています。書影クリックで作品紹介も参照のこと。

それでは台詞解説です。
作品の冒頭からこの作品の方向性を感じさせるなんとも特徴的でおかしな台詞が出てきます。この作品の主役の一人である後輩の姉の訓辞ですね。「おともだちパンチ」とは何か? 「親指をひっそりとうちに隠して、固く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです」なんだそうですが……なんというかすべてがおもしろすぎ(笑)。あとは実際に作品を読んでもらって、どんな場面でおともだちパンチが威力を発揮するかご覧くださいませ。