名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

あたしはホームの縁で足を止めた。何もかもが色褪せて見えた。もう二度と、その上を電車が通過することのないレールを、呆然と眺めやった。何てこった。あたしは遅すぎた。世界はあたしの思惑なんてお構いなしに、猛烈なスピードで過ぎ去っていく。それはもう、残酷なまでに。
あたしは今日、このホームから転落する予定だった。
なのに、あたしを轢き殺してくれるはずだった電車のほうが、先に命日を迎えてしまうなんて。家を出る直前、そういや飛び降りの場合は靴を脱ぐ人が多いけど、飛び込みのときも靴は脱いだ方がいいのかな……とか考えていた自分が、本当に愚かな小動物に思えた。
ずるい。反則だ。死ね。何もかも死んでしまえ。死に絶えてしまえ。


タイトル:幽霊列車とこんぺい糖 メモリー・オブ・リガヤ(小説:富士見ミステリー文庫)
作者  :このうたえい:木ノ歌詠
絵師  :尾崎弘宜
デザイン:?
編集  :?
キャラ :有賀海幸 (9 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

「砂糖菓子は弾丸を撃ち受けない」ファンや、決して明るくはないはずなのにどこか透明感のある雰囲気が好きならぜひ。

さて台詞解説。
冒頭の独白部分から引っ張ってきました。死ぬつもりが、死に損ねてしまった少女のつぶやき。