名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

やってやる。
いつしか、強く握りしめていた拳から、一本一本指を引き剥がしていく。
こんな、訪れるかもしれなかった未来。しかしもう二度と訪れない未来。いかに魔術といえど、時間を戻すことなど不可能だ。過去は変えられない。
だが、これから――そう、これから訪れるかもしれない未来なら。
目を閉じ、夢想したときにひとつでも楽しいことが思い描けるような、そんな未来を、この手で築くことができるとしたなら。
やるしかねえよな、って、『ぼく』も、きっと言うだろうさ。


タイトル:レギオン 2―きみと僕らのいた世界(小説:電撃文庫)
作者  :すぎはらとものり:杉原智則
絵師  :山都エンヂ
デザイン:?
編集  :?
キャラ :トール (306 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

「自我の境界」だの「意識の分割」だの、およそ王道的電撃エンターテイメントからはかけ離れた作品。
眠り病という原因不明の奇病の蔓延しだした世界、「異界」の侵略に抵抗して戦いを繰り広げる世界、そしてもうひとつ。全く異なる世界の出来事が交互に描かれるうちに、徐々に交錯し、一点に収束していきます。その収束の鍵であり、作品のテーマでもあるのが「自我」であり、正直手軽に読むには少々難解な物語ですが、ラブコメや超能力バトルものでは飽き足らない方にはぜひお試ししてほしいところですね。

それでは台詞解説……といっても戦いに赴く際の戦士の台詞、といったところです。「ぼく」に対して語りかけているあたりが自我うんぬんと関わってくる部分です。