名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「いいじゃない。迷惑かければ」
「……いいんですか?」
「いいのよ。そりゃいい歳していつまでも仕事の一つも覚えられなくて、同じ失敗ばかりしてたらさすがに困るけど、絹川君の場合はそうじゃないでしょ? 若いうちに、失敗できるうちに失敗しておくって、私はすごく大事なことだと思う。失敗の一つもしないで、何かに本気になれたりはできないと思うし、失敗した時にね、それでも続けていきたいって思えることがきっと、好きってことだと思うから」
「それでも続けていきたいって思えることが、好き……」
「うまくいくってすごい気持ちいいことだから、けっこう勘違いしちゃうものなのよ。気持ちいいことをしたがるのはただの本能よね。気持ちいいだけのものがいいなら、それはただの動物よ。でも人間には痛みを乗り越えてでも手に入れたいって願う強さがあるのよ。そしてその強さを産むのが、好きって気持ちなんじゃないかなって私は思ってる」


タイトル:Room No.1301 (#8)(小説:富士見ミステリー文庫)
作者  :あらいてる:新井輝
絵師  :さっち
デザイン:?
編集  :?
キャラ :窪塚波奈&絹川健一 (230 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

作品紹介について画像クリックで。
補足として、このシリーズが独特の雰囲気を持つもう一つの理由として、シリーズ中、おもに巻頭に掲載されている何年か先での回想シーンで、主要な登場人物たちにどういう未来が待っているかいろいろ答えが示されてしまっているということが挙げられます。
それが大団円なのか、はたまた悲劇なのか、それはあえてここでは触れませんが、そういう形式をとっていることが作品に深みを与えているように思います。

さて、それでは台詞解説。
人に迷惑をかけたくないから勢いに任せて突っ走る気にならない健一に対して、もっと積極的になってもいいんじゃないかということを言ってます。「好き」の説明の仕方がなんだかすごく共感を呼ぶもので気に入ってしまいましたね。