お隣の魔法使い 始まりは一つの呪文
作者 :しのさきさみ:篠崎砂美
絵師 :尾谷おさむ
デザイン:大橋勉
編集 :?
日常ほのぼの系のちょっと不思議な物語。
イラストとの相性がかなり良く、絵本のような感覚で読むのもいいんじゃないかと思います。
まったりとした気分で読みたい方向け。殺伐とした物語を読んだ後とか、こういうものを読んでほんわかした気分になりましょう。
前の日まで空き地だったところに、ある日突然新しい家が出現。
そんな変わった引っ越しの仕方をしてきたお隣さんは、魔法使いとでもいうしかないような不思議な青年。
その日から少女メアリーのちょっとだけ変わった日常が幕を開けるのです。
派手なアクションや、超威力の大魔法が飛び交ったりする事もない、おとぎ話系の物語です。
少なくとも私の場合は、本文のほんわか気分が尾谷おさむさんのイラストでさらに増幅されて、幸せな読後感でした。
この作品の名台詞
「ちょっとお隣さん。トゥック……、ええとトックトイッ……、ええと……」
「トゥックトゥイックです」
「ツゥクトットット……、ええい、言いにくい。あなたなんてツクツクさんで充分だわ」
舌を噛みそうになって、いや、本当は少し噛んであたしは叫んだ。別段難しい発音ではないはずなのに、なぜかあたしには言いづらい。こういうときは、言いやすいように略してしまうに限る。うん、それが正義だ。
別れはあっけない。でも、出会いは一瞬から始まるけれど、別れはフェードアウトだ。たとえ一瞬で消えてしまったように見えても、目さえ逸らさなければ、それはゆっくりと時間をかけて消えていく。完全に消えてしまうまで、それは永遠に近い長い時間に違いない。
「なら、昔に戻って草にうずもれるというのもいいですね。世界から姿を隠せば、そこは子供たちの世界でしょうから」
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