少女と移動図書館
作者 :たけすずめあやひと:竹雀綾人
絵師 :ふじしま:フジシマ
デザイン:?
編集 :?
ツイノベ、なるものがtwitterには存在します。twitter上に投稿される小説のことですね。
この作品はなんと、そんなtwitter上で1年間連載され続けたツイノベを加筆修正のうえ出版したという、ちょっと特殊な形式の小説です。
当然ながら、経緯が経緯だけにその出来が気になるところですが……。
非常に重要なこと。
読むまえに、これは既存の小説とは全く違うものであるという心構えを持って読みましょう。
というのも、140字(より正確には131字)以内にまとめられた連作短編形式の小説の奔流は、普段の小説のつもりで読むと序盤でお腹いっぱいになってしまうかも。実は私自身がまさにそういう症状にかかっていたんですが、詩を読むような感覚に切り替えてからはこころから楽しむことができました。
と、いうわけで新しい形式の小説を、一度はお試しあれ。
ストーリーは簡潔。
なんらかの理由で、図書館には人が訪れなくなってしまい、それならばと移動図書館にありったけの本を詰め込んで、いつか誰かに利用してもらえるまで旅を繰り返す少女の物語です。
主に、140字以内という制約が生んだ設定により、少女以外の人間は誰も出てきません。動物がたまに出てくるのみ。大きな事件も起こらず、日常の出来事が積み重ねられていく感じです。
きっと、正しくはこの物語は1日1編とか、少しずつ少しずつ消費していくのが本来のあり方なのでしょう。大きな変化などを期待して読むと肩透かしを受けますが、慣れてくると季節の移り変わりなど細かい部分が見えてきて、まるで作品の印象が変わります。
小説って、こういう自由なものだったんだなあ。ちょっとだけ見識が広がった気分ですね!
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