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スワロウテイル/幼形成熟の終わり

タイトル:スワロウテイル/幼形成熟の終わり(小説:ハヤカワ文庫JA)
作者  :とうまちとせ:籘真千歳
絵師  :竹岡美穂
デザイン:?
編集  :?

前作が好評だったようで続編が!
なんといってもその世界観が魅力!

<種のアポトーシス>と呼ばれる病の感染拡大を防ぐため、感染者は関東湾に作られた浮島の巨大な自治区に男女別に隔離されて暮らしている。失われた異性の代わりに、人は第三の性となる人工妖精<フィギュア>と呼ばれる人型インタフェースを作りだし、彼らと共棲している。彼らは五つの原則に従って、人間達と関わっていく。

AIスキーなら、と最初に言いましたがこれの魅力を一口で語り尽くすのは非常に難しいですね……。多くの要素が凝縮されているのは間違いないです。ハヤカワならではの、キャラ小説の枠では描写が難しい、重厚なストーリーや世界観に酔いしれてください。おすすめ。あ、AIスキーはぜひ! 未読の方は1巻をよろしく!

人工妖精の一体である揚羽は、亡くなった後輩の火葬に赴き、そこで死んだはずの人工妖精が動き逃走するという事件に居合わせる。一方、自警団の曽田陽平は人工妖精の顔を剥ぐという事件を追っていた。これら二つの事件は、自治区を襲った大規模なテロ事件がきっかけとなって、やがて接点があることが明らかになる……。

これ、かえって前作の記憶がおぼろげな方がおもしろいかもしれませんね。自分はとあるキャラについて「あれ?」という違和感をずっと持ったまま、でもそれが何なのかわからないまま読み進めたので、謎が明らかになったときに思わず空を仰ぎたくなりました。
AIとはなにか、性とは何か、人間とは何かといった問題について正面から向き合った作品です。それでいて時として、なにげなーく小ネタを織り込んでいたり、昨今の時事問題への皮肉を込めた事象があったりと、読者を惹きつけて離しません。揚羽のキャラの明るさにも救われます。

この世界観は、願わくばまだまだつきあってみたいですね。続編出ると良いなあ。


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