名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

樹海人魚

タイトル:樹海人魚(小説:ガガガ文庫)
作者  :なかむらくろう:中村九郎
絵師  :羽戸らみ
デザイン:?
編集  :?

個人的にひいきしてる中村九郎新作です。
最初に断っておきますが、相変わらず序盤は読みにくいです。開始数ページで早くもつまづく可能性が……
ただし、序盤さえ越えてしまえば、なんと普通に伝奇ものとしておもしろいよ!
しかもラブストーリーだよこんちくしょう!
今まで発表された作品の中では、一番物語展開がすっきりしてます。
庶民ナイズされすぎて烈な個性がなくなると、個人的には寂しいものがありますが今ぐらいのバランスだと個人的にはちょうどいいかな?
アリフレロに比べ、一段と進化してきました。
(ひいきも入ってることは全く否定しませんが)この個性は魅力的。おすすめです。

まずイラスト。これはもう勝ったも同然ですね(笑)
ではストーリー説明。
人魚と呼ばれる、町を破壊し、人々を殺し、さらには何度でも蘇る「人魚」と呼ばれる存在。
人はその脅威に対抗するために、同族である人魚を”歌い手”として調教し、「指揮者」を使って操ることで人魚を撃退しています。
そんな指揮者の一人で、人からはグズと呼ばれミソっかす扱いのミツオと、同じく”歌い手”としてはやっかいもの扱いの霙を主役とした伝奇アクションです。

一言で伝奇アクションとは言うもの、その発想は実に独創的。
到底簡単に説明できる内容ではないので、とにかく読んでみてとしか言いようがないです。

主人公がヘタレというか、考えなしなのには困ったものですがバービーや霙とのやりとりもすばらしい。
特にラストは実にいい。情景が目に浮かぶようです。
ほんと、こういうシーンの描写は上手いんですよねえ……ともあれ堪能させていただきました。


この作品の名台詞

「あなたは何度でも、約束を守ってくれる……でありますね」

→解説


「でも今の僕は、僕がなりたかった僕なのかな、とか思うんだ。もっとちゃんとしたかった。当たり前のことを、当たり前に感じることができたりするようなひとに、何もしなくても、なれるものだと思ってた」
「ミツオはなれる、でありますよ。
当たり前のことを当たり前にできるひとなど、多くはいないであります。誰しも何か犠牲にしたりすっとばしたりして、歪みながら体裁を繕っているのであります。なりたいものになれるのは、なりたいと気づいたひとだけでありますよ」

→解説


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