名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

エンドロールまであと、

タイトル:エンドロールまであと、(小説:ルルル文庫)
作者  :かべいゆかこ:壁井ユカコ
絵師  :太田早紀
デザイン:?
編集  :?

世にも希な一卵性双子の姉弟。
その代償として、非常に弱い身体を持った少女・佐々右由子と、その弟である佐々左馬之助の禁断の恋物語。
そして、映研メンバーそれぞれの視点で、切り替えて物事を追っている青春模様です。
やり方は違えど、名状しがたい、行き所のない感情の持って行き場に戸惑う二人の心の動きが実によく伝わってきます。
壁井作品を過去に読まれていればわかりますが、諸々の文章表現が絶妙という他ない!

そして、弱すぎる身体故か心身の発育が遅れているためか、恋愛感情を自覚できない姉と、思い切り自覚してしまったために今までと同じ態度をとることができなくなった弟。
なにしろ題材が題材だけになかなかハッピーエンドは想像にしくいものがありますが、果たしてそんな恋の結末は……それは各自の目でお確かめください。
こういうものは言ってしまったらおもしろくありませんからね。
少女小説だからと特に構えて読む必要はないですが、ラブコメではないのでそこだけご注意を。


この作品の名台詞

左馬之助はいつからそんなことを考えるようになったのだろう。幼い頃、左馬之助の考えていることはなんでもわかったのに、今はわからないことのほうが多い。
右由子の愚痴に、西丸はパソコンを睨みながらちょっと不機嫌そうにこう言った。
「そりゃあ男にはわかられちゃ都合の悪いこともある」
「意味がわからない」
「だからわからなくていいんだって」
「それじゃあわじゃらないよ」
「だからわからなくていい」
「……わたし、邪魔してる?」

→解説


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from monumenta librorum on 日曜, 2007/09/02 - 00:37

男女の双子の高校生が主人公の話。一応、一種のラブ・ストーリーなのだが、むしろ、オーソドックスな青春物というべきか。実際、映画研究会で映画を作る話になっているし。禁断の...

from Chiro-address on 月曜, 2007/08/06 - 19:42

「エンドロールまであと、」
壁井 ユカコ
小学館
2007-08
勝手に評価:★★★☆☆
 旧家に生まれた双子の高校二年生、佐々右布子と左馬之助の関係は最近ちょっとぎくしゃく気味。今...