ドラゴンキラーあります
作者 :うなばらいくと:海原育人
絵師 :カズアキ
デザイン:?
編集 :?
第3回C☆NOVELS大賞特別賞受賞作。
うっかりチェックが漏れてスルーしていたところ、各所で評判がよく今ごろになってあわてて確保。
……こんなおもしろい作品をスルーしていたとはなんという間抜けぶりorz
8月に続編「ドラゴンキラーいっぱいあります」も出ているので、月曜日速攻確保してきます!
はい、それでは簡単に概要を紹介。
人の武器では傷一つつけることのできない強大な存在である竜をも蹴散らす半分人間をやめた化け物・ドラゴンキラー。
昔、そのドラゴンキラーによって人生を狂わされ、今もなお悪夢に悩まされている便利屋・ココが主人公の物語。
ひょんなことから再びドラゴンキラーに深く関わることに……。
キャラ配置や性格設定が絶妙で、ココは口も悪いし、街の他の住人達の例に漏れず自分本意。平気で他人も売ります。
そしてもう一人の重要人物であるドラゴンキラー・リリィは強さこそ化け物級だけど、性格が戦いに向いてないうえ深く物事を考えるのも不得手。
無愛想で不器用なドラゴンキラーと95%くらいがツンで出来ている(残り5%がデレなのですよ)性格のねじれた便利屋のコンビっぷりは……実際に読んで確かめてください。ぶっきらぼうなやりとりもひっくるめて、非常によかったです。
不必要にたくさんのキャラが出てきたりしないので気も散らず、あっという間に作品に没頭してしまいました。
いやもうほんとにおもしろかった~。早く続き読もう。
この作品の名台詞
胸のどこが良いというのか。
口に出したとおり、あんなものは脂肪の塊だ。胸のでかい奴は肩が凝るとも言うし、動くときにぶるぶると揺れていかにも邪魔くさい。銃の取り回しにだって不安が出そうだし、接近戦ともなれば、重い上に邪魔なことこの上ない。
男に比べて体力の劣る女が、なおそれだけの重りをぶら下げているのだ。邪魔以外の何物でもないし、胸のでかい女を見る度に、男に生まれて良かったと心底思う。
やはり、女は尻だ。尻に限る。
胸と同じく脂肪の塊ではあるものの、断然色気が違う。狭いようでその実、雄大な広がりを見せる沃野とさえ言えるし、柔らかでいて張りのある肉は、手におさめればまさに至高。胸などよりよほど揉み甲斐がある。
胸は駄目だ。馬に乗って全力で駆けて、空中に手を差し出した程度の弾力だ。あんなものを幾ら揉んだところで少しも嬉しくない。が、尻は違う。あれこそ真理。あれこそ世界の全てだ。ラダーマンの言うところの胸の良さなど、ばっちり薬のきまってしまったジャンキーの妄言と同じ程度に価値が無い。
胸などまっ平らでいい、尻さえ丸ければ俺はそれで満足だ。
「そうまでしてか」
「何だよ」
「いや、怪我を重ねてなお、お前は軍人であることを続けたのだと、そう思ってな」
「殺すしか能がなかったからな。殺して殺して殺されかけてだ。ま、そりゃ今も変わらねえし、結局は俺が屑って話だろうな。殺すしか能がねえなんざ、最低にも程がある」
「あなたは、今までどれほどの人間を殺してきた?」
「三十までは数えた。それ以上は馬鹿らしくなって数えてない」
「私は今まで十七人だ。殺した人間の顔は今でも覚えている。今でも思い出すし、夢にも見る」
「つまんねえ話だ」
「あなたもそうではないのか? 戦役のことを思い出すと言っていた」
「そいつはちょっと理由が違う。殺すのも殺されるのも腐るほど見てきたんだ。今更そんなことに拘ってねえよ」
「では」
「拘ってんのは、俺の人生が俺の選んでいないところで勝手に変えられたってことだ。レクスか。一生忘れない名前だ。学もねえ教養も知識も金も力もねえ、そんな役立たずだがな、それでも手前で選んでたんだ。望んで軍隊に入って、殺して給料を貰ってた。それが、あの馬鹿のせいで滅茶苦茶だ。あんただったら許せるか? 俺はそれが許せなくってな。だから未だに拘ってんだが、相手はドラゴンキラーだ。泣き寝入りしかねえ。それで余計に色んなものが許せなくてな、それで今に至る、だ」
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