〈本の姫〉は謳う 1
作者 :たざきれい:多崎礼
絵師 :山本ヤマト
デザイン:?
編集 :?
デビュー作で煌夜祭という非常にレベルの高い作品を送り出した新人さんの新作。
デビュー作から、1年以上期間が空いているんですが、あとがきを読むとどうやら既にこのシリーズ全4巻書き上がっていて、後は改稿のみとのことです。
煌夜祭では、別々の話が徐々に一点に向けて収束していくのがお見事!だったのですが、今回もそれは健在。
そしてデビュー作と比較すると、世界観は相変わらず魅力的ですが各キャラクターが立っているので、「話はおもしろかったけど、もっとキャラクターの活躍を見たかった」という方にもおすすめできます。黒枠でおすすめ~。
本の姫は、ぜひうちにもご招待したいくらいですええ。
世界に悪い影響を及ぼす「文字」(スペル)。
本の中に存在し、意志も持った<本の姫>の導きに従い、その「文字」を回収して回っている少年・アンガスが主人公です。
そして、一方では天使の世界に生まれた異端の存在である「俺」の物語も同時進行し、ほんの少しずつ物語上の接点が見えてきます。
とにかく「文字」や、天使、その他の世界観が詳細に作り込まれています。あまり語るとネタバレになりそうなので、踏み込みませんが登場人物も非常に魅力的で、生き生きと動いてますね。この先の展開が今から楽しみでしょうがないです。
それから山本ヤマトさんの絵がまた作品に華を添えています。特に<本の姫>はストライク。ハートを撃ち抜かれました(笑)。
かなりのペースで山本ヤマトさんは挿絵を描かれているのでそろそろ画集とか出ないかなあと思ってます。出たら絶対買う。おっとつい脱線。
ともかく、おもしろかった!!
この作品の名台詞
「あんなに殴られて、蹴られて、それでも反撃もせずにボロボロにされて――なのにニコニコ笑っている。本当に情けない男だ、お前は」
「でも、何度蹴られても立ち上がったお前は――少ぅしだけ、格好良かった」
「これほどの力を持ちながら、なぜ隠す? なぜ戦わなイ?
お前はいったい何を考えていル?」
「貴方は言いましたね。僕の実力が知りたいと。
戦わないと決めたら、どんなに攻撃されても攻撃しない。これが僕の……力です。そういう強さもあるのだと――理解していただけましたか?」
「何もせずに殺されるのが力だというのか?」
「では――貴方に僕が――殺せますか?
武器も持たず、どんなに殴られても抵抗しない者を――貴方は殺せるのですか?」
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