迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く
作者 :はやしりょうすけ:林亮介
絵師 :つゆき:津雪
デザイン:?
編集 :?
大地震の折、京都に開いた大穴から出現した怪物達。
その怪物達からは希少な化学物質が取れるため、多くの命知らず達がその迷宮に挑戦していく。
そんなダンジョン探索の群像劇です。
今回は、完結編の上巻に当たる内容で、割と物語の動きは少ないんですが、やっぱり誰に何が起こるかわからないという緊張感は健在!
えーと、改めて作品の特徴書いておくので、今さらそれはいいよ!という方は後半だけ読んでね?
もともとは不朽の名作RPG『ウィザードリィ』の二次創作小説としてweb上で発表され、好評につき同人誌として出版され、ついには商業作品になったシリーズなんですが……
この物語の最大の特徴として、ほんのちょっとした事から歴戦の強者でもあっさり死んでしまうことが挙げられます。
そこにはご都合主義も、かっこいい死もなく、怪物の爪の一撃などで本当にあっけなく最精鋭の探索者が死んでしまう。
だから読んでいても常に気が抜けません。
また、多人数視点による群像劇というスタイルなんですが、実際にダンジョンに潜る探索者だけでなく、迷宮街で探索者を支えるコンビニ店員、怪物を買い取る製薬会社の社員、防具や武器のメンテを行う者、探索者の家族など、あらゆる立場の人間からの視点で描くことで、迷宮に潜る探索者たちが一般人から見て、いかに特異で理解しがたい存在なのかを描き出しているのは圧巻と言うほかありません。
と、作品の特徴は書いたので以下は3巻の感想を。
なんとなーく予想してたんですが、真壁とその恋人の、どうしようもない距離感が明らかになってきましたね。京都と東京という物理的な距離だけでなく、わざわざ死の危険のある迷宮に潜ることを理解できない一般人と、探索者との距離感。
このじわじわと真壁のあずかり知らないところで一方的に広がっていく距離感が、読んでて実に胃に来ます。このカップルいったいどうなるんでしょう……
また、迷宮街自体も、”アレ”の導入を控え大規模な戦いが起きそうな気配もあり、どういう結末を迎えるのかきになってしょうがない。一刻も早く最終巻が読みたいです。ああっ待ち遠しい!
この作品の名台詞
「啓ちゃんはね、すごく気が利くし周りのこともよく見てる。でも最後のところで、他の人のために自分を変えたりしない人だと思う。京都から戻ってきてこれから、何度もあの登山みたいなことが起きるよ。ゆうはこれからも我慢させられるか、ゆうにできないことは放っておかれると思う」
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