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魔女の戴冠―ラ・ドルチェ・ヴィータ

タイトル:魔女の戴冠―ラ・ドルチェ・ヴィータ(小説:幻狼ファンタジアノベルス)
作者  :たかせみえ:高瀬美恵
絵師  :中村龍徳
デザイン:?
編集  :?

さて、実はこれ「魔女の戴冠」の外伝で私は本編未読なんですが、そうと気が付かずいざ読む段になって、あとがきを見て「外伝だった!」と発覚。
(そもそも既刊一覧をちゃんと見れば一発でわかるんですけどね……)
でもまあ、本編知らなくても大丈夫って書いてあるんでそれ信じて読み始めたんですが……

おおお、これはなかなかおもしろいじゃないですか!
帯の煽り文句が上手かったですね。「チェチリアの抱える借金 タルト×15万個!」っての。
主人公は魔女っ娘だけど、媚びのかけらもないのが実に清々しい。純粋に物語で勝負してます。

幼い頃から魔法を扱う才能は群を抜き、名門・聖エレオノーラ女学院の長い歴史を通しても突出した才能を持つ少女チェチリア。
しかし彼女にはある大きな秘密が。それは――借金!

母親のマルティナは死ぬ間際に、チェチリアにとっては寝耳の水の莫大な借金があることを言い残してこの世を去ります。
ちなみにこの母親のエピソードが実に意表を突いていて完全にペースを持っていかれました。なんという困った母親。
かくして借金まみれのチェチリアは、借金を返すため当初通うつもりのなかった魔法学校に急遽入学する羽目になり、いかにしてお金を稼ぐかに腐心するのでした。
魔法学校入学の目的が借金返済に向けて、いい就職先に入れるためってのが素敵すぎ。

チェチリア登場時は12歳ですから、もうどこから見ても立派な魔女っ娘。
なのですが、口調とか服装とかイラスト(笑)に至るまで燃えや媚びのかけらもなくて、よく見かける魔法少女とは一線を画してます。
どうしようもなく堅物でかわいげのないところが逆に愛しい!

物語は善き魔女としてその名を知られた祖母のプリシラとのつながりとか、借金取り立ての青年の憎めなさとか絡みつつ展開していきます。
潤いはないはずなんだけど、なんのかんの言って最後は愛が勝ちますええ。

大変楽しく読めたんで、後先になっちゃいましたが本編は改めて読もうと思いますええ。


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