名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

黄昏世界の絶対逃走

タイトル:黄昏世界の絶対逃走(小説:ガガガ文庫)
作者  :もとおかふゆなり:本岡冬成
絵師  :ゆーげん
デザイン:?
編集  :?

第4回ライトノベル大賞ガガガ文庫部門<優秀賞>受賞作。

人の弱い心に入り込み、気力を奪い死に至らしめる《黄昏》が世界を覆っている――
これはもう設定の時点で好きな人にはたまらないはず。
そんな第一印象に違わず、世界観はまさに黄昏色にふさわしい静謐なもの。派手なアクションなどはないので地味目ですが、ぐっときますねー。おすすめです。

《黄昏》によって、気力を失う人が続出する世界。
そんな世界にあって、黄昏を浄化し、黄昏のない世界を生み出す少女《黄昏の君》によってかろうじて世界は保たれている。フリーエージェントのカラスは依頼を受け、かつて黄昏の君であったメアリを奪取し、依頼主の元に送り届けるまでの間短い旅をする――

黄昏に侵されて、多くの街は人の住まぬ廃墟になっています。そういう後ろ向きな世界観にあって、過去の記憶をほとんど持たずニュートラルな感情を宿すメアリの目線がどこか心を打ちます。
こういう話ですからもちろん別れもありますが、そういう部分もひっくるめて心にしみました。終わり方も良かったです。


この作品の名台詞

「さしあたって、どこに行くのですか?」
「どうしようかな。楽園でもあればまっしぐらなんだけどね。残念なことに住所を知らないんだ。まあ、住所がわかるなら今ごろ楽園は人でいっぱいだろうから遠慮したいな。
世の中、なかなかままならない。まったく、不便なものだね」
「世界の果て」
「え?」
「世界の果てに行きましょう。楽園に行けないのなら」

→解説


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