サイハテの救世主 PAPERI:破壊者
作者 :いわいきょうへい:岩井恭平
絵師 :Bou
デザイン:?
編集 :?
おおおお、これはおもしろかったっ!! 赤枠オススメ!
まるで目の前で繰り広げられているような沖縄住人の陽気で賑やかな日常、そして挫折した天才描写がここにはあります。
主人公のキャラ付けが非常に特徴的。
こういう極まった変人な天才主人公は、ラノベには一山いくらでいるようで実はほとんどいませんからね。(詳細は後述)
前半と後半でかなり受ける印象が違いますが、この物語は前半あってこそ。ともかくぜひお試しあれ!
わけあって沖縄に逃げるようにやって来た自称天才・沙藤葉。
地元民ともまともに交流する気のない彼が沖縄まで流れてきたのは、ここで彼の提唱する未完成の論文を完成させ、再び地位を取り戻すこと。しかし、陸や照瑠など近所の人々は誰も彼が天才だということは信じていない。沖縄の人々にすっかりペースを乱されつつも、論文完成に励む葉には、しかしおかしな記憶がたびたびよぎるようになる……。
はい、内容紹介はこの辺でストップ。
この物語を特徴づけるキーワードはふたつです。
まず、変人な天才主人公の存在。たいていのラノベにおいて、天才役はヒロインもしくは主人公の親友が引き受け、主人公は知能的にはこれといった取り柄のない少年となるパターンが圧倒的。俺TUEEEE!な最強主人公でも案外頭の中身は普通です。それは読者を主人公視点に立ちやすくして物語を楽しむために行われていることですが、この物語は完全にセオリー無視! 主人公は少なくとも1巻の時点では、変人まっしぐらだし陸たちヒロインや沖縄住人とまともに向き合っているとは言い難い。
じゃあ物語なんて成立しないじゃないか!と考えるのがもっともな話ですが……
そこをこじあけるのが、もうひとつの特徴である沖縄住人の陽気なコミュニケーションです。
ヒロインの陸をはじめ、この物語に出てくる沖縄の人々はもうこれでもか!というくらいに、主人公である葉が必死に築いている防壁をいとも簡単にブチ破ってコミュニケーションを図ってきます。葉の事情などおかまいなし! あっちいけオーラも通じず。彼の展開する理論などろくに理解してないし、天才だという主張もまるで信じてないし、変人扱いしてるけど、だからといって見下すでもなく他の人と分け隔てなく接する。そこには、ネットに浸かって田舎の近所づきあいには面倒臭さばかりを感じる自分のような人間でさえも惹きつける何かがあるのです。
それにしても、やはり作者の天才描写は際立ってますね。普通の人間をやめました感がよく出てます。作者の別シリーズ「消閑の挑戦者」もやはり天才が大きなテーマになってますが、読んだことのない人も多いと思うので、できたら紹介文を作りたいところですね……。
この作品の名台詞
「今までずっとそうしてきたでしょう! 何度も人々を救ってきたでしょう! なぜですか? それが世界でたった一人しかいない天才の仕事だからです! それをするしか貴方には能がないからです! そうすることでかろうじて、こっそりと、嫌われながらも人の輪に混ぜてもらってきたんでしょう! 仲間はずれにされずに、なんとか人間のフリを続けてこられた! 人間じゃないくせに! この世で一人っきりしかいない天才のくせに!」
「天才でなきゃ、貴方なんかはただのゴミくずなんです」
「英雄なら、人類の役に立てっ! さもなきゃ燃やして捨てるぞ!」
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