レギオン 2―きみと僕らのいた世界
作者 :すぎはらとものり:杉原智則
絵師 :山都エンヂ
デザイン:?
編集 :?
正直、こういう作品が電撃文庫で読めるとは予想外でした。
ネタがネタだけにちょっと読み人を選びますが、非常に満足できた読了感だったのでしっかりとおすすめさせていただきます。
いやはや、電撃で「自我」なんてものを扱う作品を読むことになろうとは!
眠り病という原因不明の病気が蔓延しだした現代社会、異界と戦いを繰り広げている世界、そしてさらには現代社会で登場人物の一人・矢島葵が書いている小説、これら三つの異なる物語が、交互に語られるうちに徐々に交錯していき、やがては収束していきます。
その過程では、「自我の境界」「異なる人格を操る」といったハヤカワ文庫にふさわしいような話が展開されるため、お気楽に読むにはちょっと厳しい内容です。実際、私も読了するのに通常の倍くらいかけて、しかも休み休み読みました。
ただ、それだけの価値はある作品だと思います。特に物語が収束していく様はお見事。
どう考えても電撃の主流とはなり得ない、萌えのかけらもない物語ですが個人的には今年読んだ中でも上位に入る出来でした。
この作品の名台詞
やってやる。
いつしか、強く握りしめていた拳から、一本一本指を引き剥がしていく。
こんな、訪れるかもしれなかった未来。しかしもう二度と訪れない未来。いかに魔術といえど、時間を戻すことなど不可能だ。過去は変えられない。
だが、これから――そう、これから訪れるかもしれない未来なら。
目を閉じ、夢想したときにひとつでも楽しいことが思い描けるような、そんな未来を、この手で築くことができるとしたなら。
やるしかねえよな、って、『ぼく』も、きっと言うだろうさ。
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レギオン 2―きみと僕らのいた世界 (2) 作者: 杉原智則 出版社/メーカー: メディアワークス 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 ストーリー 「ぼく」の風見徹(かざみとおる)、「おれ」のトー...
作者こういうのが好きなんだなぁ、というのはよく伝わってくるのですがネタがうまく絡み合わないで終わってしまった感じ。 複数の仮想自我と精神の統合、フィクションを物語る事の意
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