名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly

タイトル:空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly(小説:富士見ミステリー文庫)
作者  :すずきだいすけ:鈴木大輔
絵師  :原建人
デザイン:?
編集  :?

序盤でがっつりと読者の興味を惹きつけます。
主人公・空はとある事情から7回目の家出を決行、とある人気のない倉庫を根城に定めます。しかし倉庫には正体不明の謎の先客がいて、そこからはじまる攻防戦。これが実におもしろい!
あれやこれやの駆け引きが倉庫で飛び交います。

で、そこで話が終わるかと思ったら……いやー、単なるコメディで終わらず物語としても楽しませてもらいました。ええ話やった……
「ご愁傷さま二ノ宮くん」の作者の人の新作なんですが、実は私確か2巻以降が積ん読になってまして……(汗 この作品読んで積ん読になってることを反省したので、暇を見つけてそっちも読み進めていこうと思います。つまりそう思うくらいによかったということで。


この作品の名台詞

――『がんばれ』だって?
その言葉にこれっぽちの価値も見出してなかったオレが、取り返しも巻き返しもきかなくなったことを知り、それでも前を向いて歩くことを、折れると分っている枯れ木を登りつづけることを選んだあいつに、どのツラ下げてそんな戯れ言を口にできるってんだ。
でもそれ以上、オレに何ができる?
ほかに何ができるってんだよ。
ただひたすらにそう祈ること以外、何が。

そう、祈るしかなかった。
がんばれ、と。
あいつがこの先、一歩でも多く前に進めることを、あいつがこの先、一メートルでも高く上に登れることを。
あいつがこの先、少しでも幸せでいられることを。
オレは祈った。
全身全霊で、命運をかけて、身を削るように祈った。
なりふり構わず、魂を捧げて、吠えるように祈った。

がんばれ。
がんばれ、と。

→解説


「……じゃあ、どうすりゃ納得するんだ? 言ってみろよ」
「…………」
「なあ」
「…………」
「なあって」
「……だったら、
あんたがあたしよりツイてないなら、言うこと聞いてあげる」
「はあ? なんだそりゃ」
わけわからん。ていうか聞いてあげるって、なんでそんなエラソーなんだよ。
「そりゃなんだ? どういう意味?」
「だからッ! あんたがあたしより不幸なら言うこと聞いてあげる、って言ったの! わかれバカ!」
わかんねえって。どこがどうなったらそんな理屈になるんだ?
ったくよー。これだから女ってのはよー。なんでこいつら、開き直るとこんなムチャクチャ言い出すんだ。もう知らん。勝手にしろ。

→解説


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from ラノベ365日 on 月曜, 2006/07/17 - 02:20

【家出をした俺は、いつもの廃墟倉庫に向かった。しかし、その日は様子が違ってた。上階に誰かがいる。そいつは俺の行動に難癖をつけてくる。かくして俺と彼女の攻防戦がはじまった】

from せいぞんきろく on 土曜, 2006/07/15 - 17:00

富士見ファンタジアからデビューした(って、もう2年くらい前ですが)鈴木大輔氏については「この先大丈夫なのかな~」と思っていました。なんの話かといえば、同作者によるシリーズ『...