名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

スイートホームスイート4 世界で一番すてきな遺産

タイトル:スイートホームスイート4 世界で一番すてきな遺産(小説:ファミ通文庫)
作者  :ささはらしお:佐々原史緒
絵師  :カヅキレン
デザイン:?
編集  :?

平凡な高校生の一彦。会ったこともない曾祖父が、実はヨーロッパの小国の大領主だとわかり、遺産継承権第二位を指名して他界。
その日からなしくずしに一彦は、レーゲンシュヴァンツの城で苦労の多い生活を余儀なくされるが、その上お城には「人ではないもの」が当たり前のようにいっぱいいたりして……。
という、コミカル系日常ファンタジー完結編。きれいにまとまりました。
うーん、いつもながらお見事! 笑いやしんみり考えさせる部分が絶妙なバランスで成り立ってます。

作家さんのことを考えると、長期シリーズになった方がいろいろ安定していいのかもしれないので、その辺は複雑なんですが、間延びしない長さでいつもきっちり話をまとめてくれる貴重な作家さんだと思ってます。しつこく言ってますが、佐々原作品に外れなし。特にひとつでもシリーズに手を出されたことがあって作風を気に入ったなら、ぜひとも他のシリーズも読んでみてください。
完結と言うことでいろいろ感慨深いものがありますが、あえて一つだけ言うなら大詰めでのアデルは超かわいかったですええ。


この作品の名台詞

『彼女に笑って欲しいと思った』
そう言ったのは、俺の友達。
ただの上司だった人を、何故異性として意識したのかと俺に訊かれて、彼は淀みなくそう答えた。
『この世の誰よりも、俺はこの人に笑っていて欲しいんだ。そのためだったら、きっとなんでもする』
なるほどなあ、ロルフ。
いまならしみじみと頷ける。
俺も、アデルには笑って欲しい。誰よりも幸せに鮮やかに、笑っていて欲しい。
だけど、時には泣いてもいい。
一人で気持ちを殺さず、泣きたいときには泣いて欲しい……誰よりも、俺の近くで。

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