ごくペン！

投稿者： tonbo 投稿日時：金曜, 2009/10/23 - 23:15

タイトル：ごくペン！（小説：ＭＦ文庫Ｊ）
作者　　：みはらみつき：三原みつき
絵師　　：こもねうしお：相音うしお
デザイン：？
編集　　：？

作者直営サイト：なし
絵師直営サイト：なし
特記事項なし

第5回MF文庫Jライトノベル新人賞＜審査員特別賞＞受賞作。
んー……新人へのご祝儀も込めて、黒枠おすすめいっときましょう！
これ、ラスト近辺の展開の仕方次第では赤枠にしたかったくらい。
ただのラブコメじゃないのです。

偏差値７０オーバーの主人公が、幼なじみとの再会のためだけにバカの殿堂として名高い毒マムシ学園に転校。
しかし、「東大に一緒に合格しよう！」と約束した幼なじみの少女はなぜか学園でヤクザの親分になっていた！？
熱いし、主人公も一本芯の通った性格だし、校内ヤクザの斬新？な解釈もおもしろかったですええ。

幼なじみとした「東大に一緒に合格しよう」との約束のため猛勉強し、偏差値70オーバーの少年・五十嵐真太郎。
そんな彼は、周囲の猛反対の中、行方知れずになってしまった幼なじみ・権田原凛子がいるとの噂を聞きつけ、バカの殿堂である毒マムシ高校に転校してきた。
ヤンキーだらけ、授業にさえ出れば後のことは一切放置されたこの高校で、腕っ節のからっきしな真太郎は、しかしヤンキーのバカっぷりを黙って見過ごせないツッコミ性能がなぜかヤンキーに受けてしまい、一目置かれる存在に。
そんな中、幼なじみが文芸部にいると聞きつけた真太郎が、部室をのぞいてみたところ……なぜか凛子はヤクザの親分となって賭場を仕切っていた！

とまあ、こんな状況で凛子に、なぜこうなっているのかを聞くこともできないまま、ヤクザの中で客分扱いとなった真太郎の日々は過ぎていくのですが……任侠や仁義についてとか、なぜ凛子はヤクザの親分になったのかとか、これがなかなかに『深い』です。
特に物語の鍵を「任侠の精神」が握っているんですが、これは実際に読んで感じてもらうのが一番でしょう。
いやー、こんなにいい読後感の話になるとは思わなかった。いいもん読みました。

この作品の名台詞

「自分がバカなのに気付いて、それに対して焦って、向上心を持ったとしたら……その人はすでにもう、バカではないとぼくは思う」

→解説

「てめえ、権田原組に入ったってだけで自分は安全とか思ってるんじゃねえか？　自分はもう弱者じゃない、生まれ変わったんだとでも思い違いしてんじゃねえのか！？」
「都合の良い勘違いをしてるんじゃねえ！　あたしたちが強きをくじかねえ限りは何も変わらねえんだ！　この学園も、てめえらも変わらねえ！　てめえらがどんな人間なのか、忘れるんじゃねえぞ。てめえらは人間以下の扱いを受けてここに逃げ込んできたんだ！　てめえらなんざ死んでもともとのゴミじゃねえか！　それを忘れて、安全なところからこいつを見捨てようとするんじゃねえ！」
「組を立ち上げたときからわかってたはずだぜ……この学園で仁義を貫き通そうとしたら、いつか番長とやりあうことになるってな。都合のいいことばかり考えるんじゃねえよ。怯えて問題を先送りにするんじゃねえ。偉そうに安全圏にいるつもりになるな。この学園を変えない限り、てめえらは何も変われやしねえ！」

→解説