ダークエルフの口づけ―ソード・ワールド・ノベル
作者 :かわひとただあき:川人忠明
絵師 :椎名優
デザイン:?
編集 :?
はじめに白状すると、剣と魔法のファンタジーにもさすがに飽きが来て、グループSNE関係のノベルは最近すべてスルーしてました。
が。
『…うるさい。殺すわよ』と言われたい! ライトノベルのツンなヒロイン万歳というエントリを立てた時に、トラバで推定ツンデレ比9:1なヒロインだという紹介をゐんどさんに受けて以来気にはなっていたのです。
評判もいいみたいで2巻が出たのを契機に手をつけてみたのですが……これが非常におもしろい!
笑顔で握手を交わすテーブルの下で、もう片手はお互いナイフを握りつきつけあっているような感覚のある、緊張感と策謀に満ちた物語。
普段ファンタジーを読まない方、グループSNE関係の小説には興味もない方でも、上の紹介文で興味を惹かれるようであれば読んで損はしないと思います。
ただし、単純な萌えやコメディを期待している場合は、決してその想いは満たされることはありませんので、その辺ご承知おきください。
いやもう誰が敵で誰が味方なのやら。
そもそもヒロイン(というか実質的な主人公という気もしますが)のベラからしてかなり強烈な存在感です。
沈着冷静に顔色ひとつ動かさず、相手を殺っておしまいになるし、表の顔と裏の顔を持つ風変わりなエルフだし。解説でピカレスク・ロマン(悪漢小説)だと表現していましたが、なるほど納得で、根っからの善人なんてこの小説の中では片手で数えられるくらいしか出てこないんじゃないでしょうか。繰り返しますが、ギャグだのわかりやすい萌えを求めても無駄です。正義の味方も出てきません。でもものすごい魅力のある話です。……もっと早く読むべきでした。反省。
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