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ユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語

タイトル:ユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語(小説:C★NOVELS ファンタジア)
作者  :さだがねしんじ:定金伸治
絵師  :椎名優
デザイン:?
編集  :?

こいつはおもしろい! おてんば王女様最高です。
そして、バトルのない研究開発という話でここまでわくわくできるなんてっ!

赤枠認定、つまり絶賛おすすめです。個人的にはそれほどまでにツボでした。やっぱり定金作品はいいなあ……。
ノベルス、しかもC★NOVELSファンタジアなので存在自体気がついていない方も多いと思うので、声を大にしておすすめを連呼しておきます。あとがきにはシリーズ化も……みたいな記述がありましたが、1巻できっちり話が決着していることもおすすめする一因です。
この際、椎名優さんの表紙絵が買うきっかけでもちーっとも構いませんので、ぜひともご一読を!

王立技術院に東洋人として初めて招聘されたネルは、研究員を募集するが東洋人への蔑視から人集めに難航。そんな中、技術へのあふれまくった情熱が思い切り暴走している少女エルフェールによる一大攻勢に負け、彼女を研究員に採用するが、一つ大きな問題が。彼女はこの国の王女様でもあったのだ!
とまあ、序盤からエルフェールの魅力でぐいぐい引っ張ってくれます。架空技術の研究過程やトライアンドエラー、挫折と突破、そういう本来ならば地味になってしまいがちな技術系のストーリーでここまでわくわくして読めるとは思いませんでした。
巻頭のみで本文中には挿絵は出てこないものの、主要人物にはすべて椎名優謹製の素敵な挿絵があるのでよけいに幸せな気分になれます(笑)。
私みたいな技術畑と無縁な人間でもものすごい臨場感があるのですが、特に研究過程を一度でも通った方には格別な想いでこの作品を読めるのではないでしょうか。
年の瀬ぎりぎりに読んだ作品ですが、一躍今年読んだライトノベルベスト10に間違いなく位置する傑作です。


この作品の名台詞

ここで受け取ったら、負けだ。相手は、右手で妨害しておいて、左手で施しをくだしているのだ。その前に跪いて、どうもありがとうごぜえますとすり寄るのは、はたしてわたしらしいだろうか。
わたしは物乞いじゃない!
「……負けるもんか」

→解説


恨みを動機に、何かをやろうだなんて。
確かに、下品だ。卑しい。あさましい。そんなのは自分じゃない、と思った。
やりたいから、やる。それが自分だ。
そして何より、人を見返すためにやるなんて、先生に失礼だ。自分の感情を解決するために、利用するようなものだから。技術一つに懸命になっている人を利用するなんて! そんなひどいこと!
恨みなんて捨てて!
ただわたしらしく一生懸命に!
もっと品性高く!
もっと高潔に!
ただひたすら、新しい世界を追って!
そうでなければいけないわ!

→解説


「わたしは、新しい技術が見たいんです! 前進するものが見たいの! 切り開くものが見たいの! 新しい世界が見たい!」

→解説


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