レギオン きみと僕らがいた世界
作者 :すぎはらとものり:杉原智則
絵師 :山都エンヂ
デザイン:?
編集 :?
正直特にこれといった期待感とか持たずになんとなく読み始めたんですが、いやはやとんだ伏兵でしたねこれ。
明らかな2巻完結構成なんで、この1巻だけでは物語は中途半端もいいところで終わってしまってますが、この物語を綺麗に収束させることができたらものすごい勢いでおすすめしたいと思います。
現実世界と、異世界の話が交互に描かれるうちに、徐々に現実世界でもおかしな状況が起こり始めて異世界との接点が見えてくるという設定のSFなんですが……
神林長平ばりの(そこまで言うと言い過ぎかもしれないけど、例えとしては最適)心の行方や自我のあり方について描写されていきます。
まさかそんな話を読むことになるとは予想外もいいところでした。
コミカルな部分がほぼ皆無な上、上記のように読み飛ばすには少々重い描写が続き、ちゃんと腰をすえて読まないといけないため、軽いキャラ小説をお望みの場合にはちょっと向いていないと思います。必然的に売り上げが気になって仕方がないのですが、ちゃんと完結するように祈るばかりです(苦笑
現実世界では割と普通の学園生活が送られ、徐々にそれが崩れていく有様が書かれてますがこっちの方は普通。
問題は異世界の方で、精神を浸食する人類には理解不能の敵との戦いが描かれているのですが、かなり「人の精神とは?」「自我とは?」といった難解な部分に踏み込む展開になっています。この辺はごちゃごちゃ言うよりも実際読んでもらった方が早そうです。
完結編次第でどうにでも評価は変わってきそうですが、ものすごく続きが気になる作品ですね。期待してますよ!
この作品の名台詞
「他の誰かにあとを託すことができるとわかれば、戦士は死を恐れまい。自分の死が敗北を――守りたいものの破壊を意味するのでないと思うことができるから、僕も最後にはそうでありたいと思うし、だかさこそ質へ挑むこともできる」
「きみは?」
「きみは、そうではないのか。守りたいものがあるから、人類を滅ぼされてはならないから。そうした理由でないとするなら、なぜ君は死地へいく? 誰にもあとを託すことのできないそんな理由を引っさげて、なぜ戦うことができるのだ?」
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