海の底
作者 :ありかわひろ:有川浩
絵師 :?
デザイン:?
編集 :?
絵師直営サイト:なし
特記事項なし
非常に長い間、積読のままになっていたんですが、先日「クジラの彼」が刊行されて、「空の中」や「海の底」の後日談的な短編が載っていると判明。つまりとっとと読むしか! というわけでようやく手をつけることに。
……しまった、もっと早く読んでおけばよかった(汗
これはよい怪獣小説で、かつ恋愛小説としても上物です。
有川作品=ベタ甘恋愛という図式はここでもしっかり生きてました。
横須賀米軍基地周辺を突如として襲った危機。
それはミサイルでも砲弾でもなく……怪獣。エビの巨大化したものとしか形容しようのない生物が、大量に海から陸に上がって人々を餌として食い始めます。そんな混乱した状況の中、ちょうど横須賀に停泊中だった潜水艦きりしおでは、非難し損ねた自衛官2名が米軍基地に桜祭り見物に来ていた子供たちを保護することに。
巨大生物に蹂躙された横須賀基地に打つ手はあるのか。そして孤立した潜水艦に取り残された自衛官と子供たちは……。
相変わらず、窮屈な立場にありながらも表裏もてる限りの能力を駆使して、状況に立ち向かう公務員が実にかっこよく描写されています。オヤジパワー万歳。もちろん若者はちゃんと主役を張ってますが、中年パワーもお見逃しなきように。
エビに襲われて混乱する市民や、その後は貧相な装備で立ち向かう警察の苦闘なども真に迫っていて、怪獣映画に熱くなれる人は必見。
もちろん、巨大生物との戦いだけが見所ではなく、複雑な家庭環境で取り扱い注意な子供たちの様子や、そんな中でも進行していくラブ!! やっぱこれがないとね!!
今回も実に楽しく読むことができました。ああ、こんなすばらしい作品を1年以上つみっぱなしだったとは、なんてバカだったんだ……。
この作品の名台詞
「勘違いしないでね、君たちのせいってわけじゃないよ」
「君たちのせいで仕方なく怒ったわけじゃない。夏木が怒りたかったから怒ったんだ。その辺は見くびらないであげてね、バカだけど」
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陬
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