征服娘。
作者 :かぐらざかあつし:神楽坂淳
絵師 :すずらぎかりん:鈴羅木かりん
デザイン:?
編集 :?
心臓と頭に二発ずつ食らった気分。これはもう致命傷。ツボりました。
あまりにツボったので赤枠おすすめで。
有力貴族の娘として生まれ、なにひとつ不自由ない暮らしをしてきた少女・マリア。
しかし、三人のどの兄よりも優れた頭脳と胆力を持ちながらも「女に生まれた」だけで、あらゆる実権を持つことができないことに不満を持ち、ある日ついに決断します。
「すべてを手に入れる」と。
これは13歳の少女の壮大な野望成就への物語です!
コメディ色は全然なく、もうのっけからいずれは父親を殺すことまで視野に入れて行動を計画するあたりすっごいきな臭さ。
貿易の才能があり、まだ嗜好品を嗜む習慣が根づいてない世界で、先の先まで見据えて様々な嗜好品のルートを作っていたり、政治的にも二手三手先まで考えた上で発言したり、末おそろしい13歳。
後、「あーこれはいいな」と思ったのは、マリア自身は奴隷という身分に偏見を持ってはいないしひどい扱いに同情もするけど、だからといって感情移入しすぎて、その場の空気を読まず奴隷を救ったりはしないところ。後からフォローは入れるけど、貴族という立場をしっかりわきまえて行動してます。こういう冷徹さは、ライトノベルだとなかなか見れませんからね……。
人と関係を持つにも、計算しまくり。だがそれがいいわけで。
なんかこう読んでてすごい緊張感があります。萌えではなく燃え。
あとがきがなかったことだけが残念ですが、早く続きを読みたいものです。
その際にはぜひあとがきもよろしくおねがいします(笑)
この作品の名台詞
「あなたのために死ぬ? いいわね。そうやって死にたいわ。
誰かのために死ぬ。それは一番いい死にかただと思うわ。それがあなたのためならなおさらいいの。わかる?」
「わからない。私は誰かのためには死にたくない。私のために誰かを殺しても」
「こんなこと言うわたしは嫌い?」
「ええ、嫌いだわ」
「それでいいのよ。マリア。でも、覚えていてね。世の中には、たった一人くらいは命をかける相手がいるものなの。それが一人もいない人は……
死ぬか、支配者になるか、よ」
「私は、夫の顔色をうかがったり、浮気の心配をしたりしながら老いていきたくない。自分の人生は自分で決めたいのです。わかりますか?」
「ただそれだけのために国家を手に入れたいのですか?」
「いけなくて?」
「いけなくはないですが、私のように愛されずに育った人間ならともかく、あなたはさまざまな人に愛され、かしずかれてきたでしょう」
「愛? 愛ですって? これは警察長官という職にふさわしくない言葉ですね。人間は愛や友情では救われない。ただ力だけが人を救うのよ。愛では駄目。この国を手に入れるだけの力だけが私を救うのよ。私の中のなにかがそうささやくの」
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