名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

七姫物語 第5章

タイトル:七姫物語 第5章(小説:電撃文庫)
作者  :たかのわたる:高野和
絵師  :尾谷おさむ
デザイン:?
編集  :?

1年半もの間、待ちに待っただけのことはありました。
今回も非常に素晴らしい出来。今回は七姫が全て出ます。激動というにふさわしい展開。
戦記ものの体裁をとりながらも、血なまぐささと無縁ですべてを俯瞰しているような透明感、これが最大の持ち味です。
刊行ペースが非常にゆっくりなので、未読の方は今からでもぜひお試しを。

東和の国は七つの地方に分かれ、それぞれの都市の象徴として姫が国を治めています。
そんな七つの国の中で、新興国カセンの姫である空澄姫をメインに、それぞれの姫を通して国の有り様を見ていくのですが……
やっていることだけ見れば、れっきとした群雄割拠の戦記もの。自らの理想を掲げ、お互いをつぶし合っている。
しかし、国の象徴である姫を前面に出すことで、戦場はどこか遠くの出来事として映ります。さらに空澄姫の気性が非常につかみどころのない「透明感のある」としか表現しようのない性格なので、東和での出来事自体が夢物語であるかのような不思議な感覚に。
象徴であって実権があるわけではない姫という立場にありながら、自分の責任を果たそうとして凛と立つ姫たちは、いずれも個性にあふれ美しいです。甲乙つけがたい……でもまあ、やっぱり七宮たる空澄姫が一番底が深く感じはするかな。


この作品の名台詞

「ようやく、私にも七姫の形が見えて参りました。貴女のそんな顔が見たくて、あの二人は貴女を担いでいるのでしょうね」
「これより先、東和がどうなるか私共には計り知れません。そして、他の国が描く未来の絵図も、貴女のお二人が目指す先も私共には計り知れません。ですが、ここから先にどのような絵図が広がろうと、私と浅木は貴女に好意を持ちましょう。貴女が今のまま、そのお心のままでいられるならば、その不思議そうな瞳で世界を見つめているならば、その目に映る私共も変わらぬ立ち姿であるよう心がけましょう」

→解説


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