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七姫物語 (第4章)

タイトル:七姫物語 (第4章)(小説:電撃文庫)
作者  :たかのわたる:高野和
絵師  :尾谷おさむ
デザイン:?
編集  :?

ああ、いつ読んでも実にいい……。刊行スピードがもうちょいあがってくれたらなあ、という以外の不満は何もありません。

一応は戦記もの、になるんでしょう。とある大陸の七つの都市の象徴として立つ七姫たち。都市間の政略・戦略の旗印として動く姫たちを中心として、国の形がどう動いていくかを描写する……と、ここまで書くと普通はアクションと駆け引きたっぷりの戦記ものをいろいろイメージすると思いますが、この作品はふつうの戦記ものとはかなり違います。
主役は、七人の姫の一人・空澄姫なんですが、基本的に姫は象徴として戦いの最前線に立たないため血なまぐさい場面が前面に出てきません。また姫の視点は明確に一歩離れた位置から俯瞰に徹していますが、これが独特の透明感を生み出しています。
他の姫たちも描写した群像劇には違いないんですが、ではひたすら俯瞰するだけなのかというと、この空澄姫は姫の従者の一人を装って街の中で一般人として行動することがよくあり、俯瞰だけでもない。この独特な透明感はやはり読んでもらわないと実感しにくいので、ぜひ体験してください。
1年に一冊という非常にゆっくりしたペースで出ていますので、4巻といえどすぐに追いつけると思います。突出した派手さはないんですが、気が付いてみれば深い印象を残す良作です。おすすめ。


この作品の名台詞

争いは望まないけれど、上を目指せば競い合いは避けられない。競い合わなければ、多分、高みには行けない。競い合わずに高いところに辿り着けるのは、きっと、初めから高い場所を知っている人だけだと思う。
私は知らない。見上げただけ。そして、私が手を伸ばした先は、きっと、ずっと高い。

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from ラノベ365日 on 木曜, 2006/10/12 - 20:17

七姫物語〈第4章〉夏草話高野 和 メディアワークス 2006-09by G-Tools 【七宮の称号を持つ空澄姫は対立していた三宮常磐姫と会談し、その和解を人々に示した。だが、各勢力との対立はまだ...