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B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる

タイトル:B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる(小説:ファミ通文庫)
作者  :あやさとけいし:綾里けいし
絵師  :kona
デザイン:?
編集  :?

第11回エンターブレインえんため大賞<優秀賞>受賞作。

これはまた……すさまじく鬱でグロで救いがないんですが、でも目を離すことができない、そんな物語です。
伝奇というより主にサイコホラーの領分でコメディ成分はほぼゼロ。
それだけに好みはくっきりと二分されると思いますが、一読の価値はあります。
特に紅い唐傘のくるくると回る様子は、独特な映像美として印象に残ります。
作者ならではの物語を今後も生み出してくれるのではないかという期待もこめて赤枠おすすめで。
ヤンデレ好きにも。ただし出てくる人はお世辞抜きでやばい感じですが。

主人公の小田桐は、いつも紅い唐傘をお供にゴスロリ衣装をまとう14歳の異能少女・繭墨あざかが代表を務める繭墨霊能探偵事務所の助手。そこで舞い込んでくる事件を解決するのが仕事。
と、この紹介だけ見るとよくあるパターンじゃないかと思うかもしれません。
が。
最初の事件からして恐ろしく歪です。
姉が飛び降り自殺。しかし自殺しようとしたはずの姉の体は消失し、その後消えてしまった姉の臓器の一部だけが落ちてくる……
依頼者である妹もかなり病んでいて、死にきれない姉を自分の手で殺してあげたいから捜してほしいという。これ以上書くとおもしろくないので伏せますが、まだまだ妹の方の異常は常軌を逸してます。
いわゆるヤンデレですが、その辺のラブコメに出てくるにわかとは格が違います。

依頼に負けず劣らず、小田桐や繭墨の過去も相当に歪んでます。
二人のつながり自体が、わかりやすい恋愛関係などではなくて、もっとこうドロドロした情念が渦巻いてます。

小田桐が腹の中に飼っている物の正体とか、とにかくよくもまあこんなにどろどろした話を書いたものですね。それでいて、脳内に再生される映像は不思議と美しい。
今後の活躍にも期待! あとは売れてくれさえすれば……イラストでのつかみは上場だと思うんですが、後はこういう話に読者がついてきますように。


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