名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1

タイトル:龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1(小説:ファミ通文庫)
作者  :おおとりのかずま:鳳乃一真
絵師  :赤りんご
デザイン:?
編集  :?

第13回えんため大賞<大賞>受賞作。

一言で表すと、学園冒険小説。
実家の家業を継ぐことを拒否して勘当され、人工学園島での生活を余儀なくされた主人公が、もろもろあってトレジャーハンターの真似事をする羽目になる、そういうお話。
確か大賞の受賞者は久しぶりだったような。文章は落ち着いていて、安心して読めます。
奇をてらった部分がなく、いい意味で古き良き、という言葉が似合う作風ですね。黒枠おすすめ。

家業を継ぐことを拒否して勘当され、飛ばされた先は学園特区・七重島。いわゆる巨大学園。そこに転校し、赤貧生活を余儀なくされた少年・八真重護は、契約した格安物件のアパートに先住人として、幽霊の少女がいることを知る。その名は龍ヶ嬢七々々。学園の創立の立役者だったが、10年前に殺されて地縛霊となっていた。
そんな彼女と同居をはじめたはいいが、いろいろとやっかいごとが降ってくる。名探偵と知り合いになったり、奈々々コレクションなるお宝を探す羽目になったり。トレジャーハンター!?

ちょっと主人公のキャラが定まってない印象がありますが、それ以外は特に不満なし。
変にリアルに凝り固まらず、いかにも冒険小説っぽいいい意味でのアバウトさがあるのが強みですね。
真ヒロインは、たぶん地縛霊の奈々々なんですが、部屋から動けないという制約上、むしろもっともヒロインしてたのは名探偵の天災でしたね。このキャラは非常によかった!
続編を書くのも全く問題なきそうなんで、続きを楽しみに待ちたいと思います。

あ、ひとつだけ要望がありました。
作者の癖なんだと思われますが、会話文で相槌を打つ時になぜか「ああ」じゃなくて、「ああっ」なんですよね。あれがびっくりしている感情を表すように思えて毎回気になって気になって仕方ないので、ぜひ続刊では修正していただきたく。


この作品の名台詞

「なあ重護。名探偵に必要なモノはなんだと思う」
「何だよ、急に?」
「いいから答えろ」
「えっと……推理力?」
「違う、そんなのは基礎中の基礎だ」
「そうか、事件だ」
「惜しいが、それだけではダメだ」
「じゃあなんだよ、いったい」

「ライバルだ」
「……はい?」
「名探偵に必要なのはライバルだ」

→解説


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