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ようこそ、フェアリーズ・インへ!

タイトル:ようこそ、フェアリーズ・インへ! (小説:電撃文庫)
作者  :おがわまさたけ:小河正岳
絵師  :得能正太郎
デザイン:?
編集  :?

あとがき曰く、『剣と魔法のファンタジー世界で魔王も倒さず世界も救わない、平々凡々たる男の話が書きたい。』が形になったのがこの物語。
コンセプトがコンセプトなので、主人公はかっこよさとは無縁だし、脇キャラにも隙が多い人間が揃ってます。が、日常の生活が透けて見えるような冒険がかえって心に残ることもある……うん、いいですね。
安定した筆力で、文章に一切不安がないのはデビュー当時から変わらず、さすがといったところ。
ゆったりした気持ちで等身大のへっぽこ主人公の冒険を見守りましょう。

実力もなければ実績もない、ないない尽くしの駆け出し冒険者ラウルは、どこの冒険者ギルドでもまともに相手にしてもらえない。親切な宿に一ヶ月も無賃で居候状態で、さすがに気が引けるが地道に働く意識には欠けたまま。そんなある日、宿の女将さんが急病で倒れ、ラウルは女将さんを寺院に担ぎ込んだあと、魔法学院に通うという孫のミリーを呼びに向かうが……。

崇高な動機はなく、かかる火の粉は偶然で払っているだけ。しまらない主人公ですがこういうのも時にはいいですね。本気を出してすら、詰めが甘いのがいかにも普通っぽい。最強主人公ばかりじゃ逆に肩が凝るというもの。
マッドな魔法道具開発者なヒロインとか攻撃魔法しか得意じゃないお嬢様とかこの偏りっぷりが素晴らしい(笑)。
物語としてはメインキャラを登場させるためのプロローグという印象が強いので、本格的にエンジンがかかるのは2巻以降ではないかと思われますが、続刊も楽しみです。


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from Cherryh's blog annex on 日曜, 2012/02/26 - 21:59

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