付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います
作者 :おどうあきひこ:御堂彰彦
絵師 :タケシマサトシ
デザイン:?
編集 :?
オカルト的な骨董品を扱ったお店で起こる不思議な出来事の数々。
実のところ、ライトノベルでこういった題材の作品は非常にポピュラーではあります。
が。
そんな中で、このシリーズはかなりいい線行ってます。なによりもヒロインである咲の使い方が非常に好きですええ。
この要素を入れたことで、同題材の作品に埋もれない位置を保ってくれる……と、いいなあ。
ぜひしばらくこのシリーズにはがんばってもらいたいと思ってます。
『アンティーク』と呼ばれる、特殊な能力を持った骨董品……を買い付ける過程で掴まされた偽物を扱う付喪堂。
そこでバイトをしている、とある経緯で片眼を限定的な未来視の出来る義眼を入れている少年・刻也と、同じくいつも無表情で何を考えているのかよくわからない少女・咲が主な登場人物で、いろんな「アンティーク」にまつわる話が短編形式で展開します。
切ない終わり方をしたり、あまり暴力沙汰にはならなかったりと、そういう基本的なところでも見るべき点はあるのですが……
やはり咲の存在が大きい。
1巻、2巻ともに4つめの短編は、咲視点をメインにしつつ、刻也視点と交互で物語が進むんですが、一見アヤナミ系無表情少女に見える咲が、実は内面でかなりいろんなことを考えていて、しかも普段あまり人と接していないためか一般常識が足りずとんでもないヘマをやらかしてどツボにはまったり、刻也が好きなんだけど態度に出さないのでやっぱり行動がややこしいことになる様が非常におもしろく書けています。
この咲視点の短編あってこその付喪堂骨董店ですよ!と、あえて言い切ります。
この作品の名台詞
「何だその格好は?」
「黒猫よ」
「……いいのか、それで」
「ええ」
「意外だな」
「どうして? 黒なのよ?」
「……そうか。よかったな」
「その人って彼氏?」
は? いきなり何てことを言うんだろう、この人は。刻也とは彼氏とか付き合っているとかそんなんじゃない。
でもこういうことを言われるのは初めてじゃない。いえ、むしろよく言われるほうかもしれない。ということは周りから見るとそういうふうに見えるのだろうか。でも甲本さんは一緒にいるところなんて見たことがないから、わたしの口ぶりで判断したのかしら。
わたしはそんな風に聞こえるように話してしまっているのだろうか。確かに刻也とは一緒にいる時間はとても長いし、名前で呼び合ったりもしているし、家に行ったりしたこともあるし、二人で出かけたりもする。
世間ではこういうのを付き合っているというのだろうか。
ううん。違う違う。だって告白とかそういうのはないし、別に刻也のことをそんなふうに見てはいない。あ、でも、決して嫌いというわけじゃないの。むしろわたしの周りの人の中では一番仲がいいというか……。周りに同世代の人なんていないから刻也しかいないというか……。
って、刻也しかいないっていうのは、刻也でなければダメとかそういうのじゃなくて、とにかくわたしと刻也は付き合ってるとか、恋人とか、そういう関係じゃないことは確かだから、
「いいえ。違います」
わたしは素直にそう返した。
「ずいぶんと長い葛藤があったみたいだね?」
シリーズ一覧
『 付喪堂骨董店 3』
『付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店 6―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店 7―“不思議”取り扱います』
作品一覧
『 付喪堂骨董店 3』
『付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店 6―“不思議”取り扱います』
『付喪堂骨董店 7―“不思議”取り扱います』
『カミオロシ―縁結びの儀』
『カミオロシ 2』
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