名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

扉の外

タイトル:扉の外(小説:電撃文庫)
作者  :どばししんじろう:土橋真二郎
絵師  :白身魚
デザイン:?
編集  :?

閉鎖空間ものですが……青い。すごく青い。
ストーリー的なことよりも、主人公の言動を受け入れられるかどうかで好き嫌いが別れるかもしれません

修学旅行に行くはずだった紀之が、目覚めてみると他のクラスメイト全員と一緒に密室に閉じこめられていた。戸惑うクラスメイトに、声をかけてきたのは人工知能ソフィアと名乗る声。ソフィアに従いさえすれば生命は保証されるというが、その指示はゲームを連想させるような特殊なもので……。
抑圧された集団心理の向かう先とか、女の子達の暗黒面の描写はなかなかよかったです。個人的にはもっと「黒い」とさらによかったんですが。
とにかく登場人物たちの置かれる特殊な設定と、「周りはわかってくれない」的な強烈な青臭さがポイントですね。
ただ、かなり投げっぱなしジャーマンな終わり方をしている感があって、かといって続編を出されてもそれはそれでおさまりが悪そうなんでご注意を。


この作品の名台詞

「そうするしかなかったよ」

→解説


「出てきた? 違う、逃げてきたんだろ。密室で他人とコミュニケーションが取れずに、別の場所に逃げてきた。おまえは昔からそうだ。嫌なことがあると、そこから移動することだけを考える。解決することなく、ただポジションをずらす」
「クラスメイトと上手くいかなかったんだろ。斜に構えて、距離を取って、強調せずに口だけは達者だ。心の中で相手を馬鹿にして、自分を擁護する。自分は悪くないって、周囲の人間が悪いんだって。その結果がこれだろうが」
「おまえはいつもそうだ。いつも逃げてばかりで、地球を一周するつもりか? そうしたらどこに逃げる? 自分の心の中か? おまえはこの世界で存在はない。心の中の国で存在するなんて、なんて情けない人間だ」

→解説


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from monumenta librorum on 土曜, 2007/03/03 - 19:50

電撃小説大賞の金賞受賞作。気が付いたら、高校生がクラス毎、閉じ込められ、変なゲームをさせられることになるが、主人公の少年は拒否するという話。設定は、SFなのだが、ストーリ...

from ラノベ神髄 on 水曜, 2007/02/21 - 05:16

修学旅行の途中でいつの間にか気を失ってしまい、覚醒した時にはクラスメイト全員が密室に拉致監禁されていた――。
驚愕の事態に皆が混乱しかける中、人工知能ソフィアと名乗る者...

from いつも感想中 on 木曜, 2007/02/15 - 10:22

扉の外 作者: 土橋真二郎 出版社/メーカー: メディアワークス メディア: 文庫 電撃小説大賞<金賞>だそうですが、さもありなん、という感じです。というかここまで書いても金賞までし...