名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

神様のメモ帳

タイトル:神様のメモ帳(小説:電撃文庫)
作者  :すぎいひかる:杉井光
絵師  :岸田メル
デザイン:?
編集  :?

「火目の巫女」の作者杉井さんの新作(読み切り?)。
や、これはいいですね。なんせニートを扱っているくらいなんでお気楽なだけの物語にはなりようもないんですが、「それなりに」前向きです。
かろうじて高校には通っているものの、いつ転落してもおかしくないくらい周りと接点を持たない高校生・藤島が語り手。
美少女ニート探偵のアリスと、路地裏のラーメン屋になぜか集うニートの面々の日常と非日常を描写します。当然探偵が出てくるくらいなんで、お気楽な日常話では終わらずあるおおきな事件に繋がっていくのですが……その辺は実際に読んでお確かめを。
切ない気分にさせられたりもしますがおすすめです。

ちなみにニートという言葉に関しては、マスコミで植え付けられた表面的な知識だけしか持っていないとニートと引きこもりを混同したり、作中で違和感を覚えたりするかもしれませんので、ウィキペディアもしくははてなあたりで予習・復習されるといいんじゃないでしょうか。
んー……杉井さんは境界型と呼ばれるような作品が向いてるのかもしれないなーと思いました。ところで「火目の巫女」はもしかしてその……(汗 ああっ、嫌な予感が!


この作品の名台詞

「用件を聞こう」
「アリスは探偵だよね」
「ただの探偵じゃない。ニート探偵だよ」
「部屋にいながらにして世界中を検索し真実を見つけ出す?」
「その通りだ」
「じゃあ
調査を依頼したい」

→解説


「だから、ぼくは探偵になることを選んだ」
「わからないかい? すでに死んでしまったもの、失われてしまったものに対してなにか意味のある仕事が為せる職業は、この世の中でたった二つしかないんだ。つまり作家と探偵だ。作家だけがそれを夢の中でよみがえらせることができる。探偵だけがそれを墓の中から掘り返して情報に還元することができる。それは宗教家にも政治家にも葬儀屋にも消防士にもできないことなんだ」
「でもね、ときおり不安になる。探偵はつまるところ、すでに失われたものに対してしか働きかけられないのではないか、と。起きていない事件は解決できない。まだできていない墓は暴けない。これから深く傷つくはずの人がいても、ぼくはけっきょくそれに対して無力なままなんじゃないか、とね」

→解説


It's the only NEET thing to do.

→解説


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