名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

神様のメモ帳 3

タイトル:神様のメモ帳 3(小説:電撃文庫)
作者  :すぎいひかる:杉井光
絵師  :岸田メル
デザイン:?
編集  :?

ニート探偵アリスと、彼女を取り巻くちょーっとまともな社会からははみ出てしまったけれど、憎めない個性的な面々の集う青春模様。
ミステリという形式を利用して、普段は隠されている人の裏の部分を描写する事で、ほろ苦くてけれどもどこか優しい青春の一ページをエアが来だしています。
3巻を持って綺麗に完結しました。(たぶん)

最初に断っておくと、このシリーズにおけるニートの解釈は「16~18歳の教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」という元々の定義に寄っているため、単に社会のはみ出し者だと思った方がいいです。
そんな若者達の中で、もっとも人生経験や覚悟が足りないと思われる藤島が、さんざんに苦しんであちこち躓きまくりながら人の死に絡んだ事象から少しずつ何かを学び取っていきます。ニート同士のおバカな日常の中にもしょっぱい現実はあるんだぜ、という感じ。

ところでアリスは、もう完全に隠しきれない藤島ラブ状態ですね。
そのあたりの会話とかはもうニヤニヤなしでは読めません。
このツンデレめっ!>褒め言葉


この作品の名台詞

「あのな。一つだけ。
もっと信じてやれ」
「……なにをですか」
「なんでもかんでも」
「僕は、……ミンさんみたいに、強くないから。……そんなのは、無理です」
「おまえは強いよ。自分じゃ知らないかもしれないけど、わたしは知ってる」
「テツ先輩に買って四天王だのなんだの騒がれてるってことを言ってるなら、やめてください。馬鹿みたい」
「ンなんじゃないよ。だって、おまえさ。
今でも生きてるじゃん。
あれだけひどい目にいっぱい遭って、身体も心もボコボコにされて、理不尽に不幸にたたき落とされるやつらを大勢見てきて、それでも、生きてる」
「それは――
僕が、強いんじゃないです。まわりにいつでも、だれか支えてくれる人がいたから」
「それでいいんだよ。運も実力のうちっていうだろ。あれは嘘だけど、こっちはほんとだ。仲間は実力のうち。それは、おまえの世界の強さなんだから」

→解説


「もう一度言おう。ぼくはニート探偵、死者の代弁者だ。墓を暴き、失われた言葉を掘り出し、死者の名誉を守るためだけに生者を傷付つけ、生者に慰みを与えるためだけに死者を辱める。きみはこれを知らなければいけなかった。きみの兄上が、なにを守ろうとしたのかを」

→解説


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